逆説性不眠症とは

不眠症の中のひとつに、「逆説性不眠症」というものがあります。

 

これは、十分眠れているにも関わらず、
自分は眠れていないと思い込んで、不眠症だと訴えるケースで、
「睡眠状態誤認」とも呼ばれています。

 

この逆説性不眠症は、
慢性不眠症の約5%を占めるとされています。

 

睡眠障害を検査するための方法としては、
脳波や呼吸などからその状況を調べる睡眠ポリグラフィや、
腕時計型の体動測定器を使って
睡眠状況を調べるアクティグラフなどがありますが、
そのような検査をして十分に眠れているという結果が出ても、
逆説性不眠症の患者は強く不眠を訴えます。

 

検査の結果と自覚症状が真逆なわけですが、
もちろん患者が嘘をついているのではありません。

 

本人には眠れているという自覚は全くなく、
「一睡もしていない」、「全く眠れない」と訴えるのです。

 

逆説性不眠症の患者の中には、
「今まで一度も眠ったことがない」というほど、
眠りを自覚できない人もいます。

 

「自分は一度も眠ったことがなく、少なくとも45日間眠れていない」
という男性が不眠外来で睡眠状態の検査をしたところ、
きれいな睡眠脳波が認められ、しっかり眠れていることが分かった。

 

というアメリカでのエピソードもあります。

 

逆説性不眠症の特徴のひとつとして、不眠の訴えが大げさで、
あり得ないようなことを訴えるということが挙げられます。

眠っている自覚がない

「ずっと一睡もできていない」
などというのはほとんどあり得ないことですが、
本人はそう感じてしまうのです。

 

不眠が続いていると訴えるにも関わらず、
それほど疲労がたまっている様子がなく、眠そうにしている様子も
昼寝をしたりということもないという特徴もあります。

 

そして、睡眠ポリグラフィや
アクティグラフなどの客観的な検査結果を見ても、
自分は眠れていないと主張し続けることもあります。

 

客観的な結果と主観が全く矛盾してしまっているのが
逆説性不眠症の特徴なのです。

 

逆説性不眠症の原因ははっきりとは分っていませんが、
ひとつ考えらえるものとして、
精神的な問題が挙げられています。

 

眠ることに対して神経質になっていたり、強迫性があったり、
睡眠に対して自意識過剰になっていると考えられます。

 

逆説性不眠の人は、眠れないときのことを過剰に気にし、
眠れていることをほとんど無視してしまっているという特徴があり、
睡眠に対する認知の歪みがあるのです。

脳にも問題あり

脳の問題も指摘されています。
逆説性不眠症の人は眠っていても脳が覚醒状態にあり、
大脳皮質の一部が眠っている間も
活動を続けている可能性があります。

 

大脳皮質は知覚や記憶、思考など高度な機能を司っており、
そのうちの一部分が睡眠中も活動していることで、
眠っているのに音が聞こえているという自覚があるなど、
起きているような感覚を持ってしまうことが考えられます。

診断は必要でも治療薬は不要

逆説性不眠症の場合は実際は睡眠がとれている状態なので、
体力などの身体的な面では問題ないと言えますが、
本人の精神的な苦痛は大きく、
うつや不安症状につながる場合があります。

 

逆説性不眠を克服するためには、
まずしっかりとした診断を受けることが大切です。

 

そして、必要な睡眠はしっかりととれているので、
問題ないと本人が理解することが重要です。

 

逆説性不眠症の治療に睡眠薬を用いるのは危険です。
まず、きちんと眠れているという客観的なデータを得て、
本人を安心させるといいでしょう。

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